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2012/03/28 (Wed) 08:50
「建築基本法制定準備会」 外事・政策部会

建築基本法制定準備会 外事・政策部会

27日に新宿区高田馬場で「建築基本法制定準備会」外事・政策部会の会議に出席しました。
以下の話合いをしました。

1.国交省「建築法体系勉強会」が終了した。
●建築法体系勉強会とりまとめの公表について
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000294.html
●建築法体系勉強会
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/b99_kenchikuhoutaikei01.html

2.被災地支援について
準備会有志で釜石市のまちづくりの支援をします。

3.総会について
6月16日に総会を開催します。総会終了後、「建築基本法」討論会を開催します。
国会議員の基調講演を依頼します。

4.法制化への働きかけ
国会議員と面会し、法制化への協力、議連の参加を求めます。
各政党のマニフェストに「建築基本法」を盛り込むように働きかけます。
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2012/03/27 (Tue) 09:43
「改正省エネルギー法」について

26日に国会議員を訪ねて「改正省エネルギー法」について以下の問題点をお伝えしました。

国交省に下記の問題点について回答を求めます。
その回答次第で今後どのように活動するか考えたいと思います。


(住まい塾古川設計室の古川氏にアドバイスをいただきまとめました。)

■改正省エネルギー法の問題点

①高断熱化によるエネルギー消費の削減は日本全体の1%の効果で費用対効果が低い。省エネ効果は家電、給湯、暖冷房の順であり、給湯に対して講じた方が有効である。
②高断熱化の省エネルギー以外の便益(健康維持増進効果)の科学的根拠がない。定性的であり、エビデンスがない。
③工事費アップ、CASBEE審査費・書類作成費加算などの消費者の負担増になる。天下りの温床である。
④消費者の省エネルギー方法の選択の自由の制限。省エネの手法の選択ができない。寒冷地では高断熱化が有効であり、温暖地では開放型住宅が有効である。
⑤建築の自由の制限であり、建築のあり方に大いに影響がある。
⑥建築基準法の上乗せ規制と既存不適格建築の増加により問題は深化する。
⑦土壁など伝統木造の建設困難になり伝統構法木造の減少に拍車がかかる。
⑧建築生産システムの破壊につながる。伝統的素材生産、道具などの生産を困難にしてしまう。
⑨デフレ経済下での工事費アップは需要減になり市場創出にはならない。
現行の状態では補助金350万円(長期優良住宅100万円、減税100万円、太陽光利用50万円、コ・ジェネ100万円)。2020年までに新築の50%を目指しているゼロエミ住宅(ZEH)は4~500万円アップになる。
⑩新設住宅着工数の減少による失業・倒産・経済不況を招く。
⑪低炭素社会の政策の持続性が懸念される。地球温暖化対策の方向転換の可能性がある。
⑫再生可能エネルギー設備導入による容積率緩和は建築基準法と都市計画法の整合性はあるか。

■見直し案

①改正省エネルギー法の高断熱化の義務化の中止。寒冷地と温暖地では対応は変えるべき。
②伝統構法木造の高断熱化の義務化の適用除外。
③CASBEEの義務化の中止。CASBEEはエビデンスがなく、法的根拠がない。
④市場創出には補助金の選択肢を限定せず、耐震化、高断熱化、設備の更新などリフォーム内容の範囲を広げるべき。
⑤建築はすでに規制は強化されていて、責務も重くなっているので、市場創出には建築全般に規制強化ではなく規制緩和すべきである。デフレ経済下では規制強化によって建設費のコスト・アップではなく、緩和によってコスト・ダウンすべきである。最近の住宅はすでに省エネ化されている。

2012/03/27 (Tue) 09:30
消費税増税について

現在民主党内で「税と社会保障の一体改革」の検討が行われています。
私は下記の映像を見ると、行政改革、特別会計の一般会計への組み入れはどのなっているのか非常に疑問です。

新設住宅着工戸数は消費税の値上げがあると減少します。5%の消費税値上げは2000万円の住宅で100万円アップすることになります。後に書きます「改正省エネルギー法」と合わせると300~400万円アップになります。
消費税値上げで着工数が3割減少すると4,5兆円のGDPが減少してしまいます。また不況を招くことになります。

「特別会計改革の基本方針」が閣議決定していてもいつ行われるかはわかりません。
http://bit.ly/HdWZTj

無駄遣いはいつなくなるのでしょうか。

野田首相が自ら明言した12億1000万円の拠出を止めてから消費税増税を検討すべきだと思いますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
財務大臣、総理大臣になると官僚のマインドコントロールにかかってしまうのでしょうか。

http://bit.ly/xYo2gJ
http://bit.ly/yeQrig

政府の情報操作。かなり明快です。

http://bit.ly/GGSWw3
http://bit.ly/GGhd76
http://bit.ly/GNZvBl

消費税増税は今行う時期ではありません!!

2012/03/16 (Fri) 06:03
改正省エネルギー法についてのコラム

改正省エネルギー法についてのコラムを書きました。
多くの方に知っていただきたいと思います。


消費者ニーズの「新産業・新市場の創出」を考えよ

3月2日に官邸において「イノベーションによる新産業・新市場創出」をテーマとする第2回国家戦略会議が開催された。国交省から示された「新産業・新市場の創出」に向けた取組は①低炭素・循環型システムの構築②観光・航空需要の喚起③不動産投資市場の活性化、PPP/PFIの活用、インフラの海外展開であった。建築関係として主として①新築住宅のゼロエネ化②既存ストック5千万戸の省エネ対策③都市・建築物・交通の低炭素化促進が提案されている。

理念として省エネルギー化、低炭素化に異論を唱えるものは少ないであろう。しかし、私には違和感をぬぐいきれない。価値観の多様性が欠如し、消費者ニーズではなく供給者論理で需要を喚起し、選択の自由を許容しない、智恵のない社会をつくり出そうとしているからである。提案されている実体はどれも省エネルギー化、低炭素化の理念に反して地下資源を使い、無理に消費を煽り、結果として不況を招くことになると思われる。

省エネ化は脱化石燃料社会の構築には必要である。しかし、提案されているゼロ・エミッション住宅は太陽光パネルや石油系もしくは鉱物系断熱材を使い、動力の空調で室内の温熱環境を整えるものである。ライフサイクルコストは高く、化石資源をより使用することになる。すべて新工法で設備機器を必要とし、工業製品でできている。実績のない新工法でできた住宅は世代を超えて住み継がれる保証はない。技術の進歩は早く、10年単位で新技術が開発されるので太陽光発電などの30年で回収される設備投資は無駄になる。たとえ30年使用続けたとしても新たな設備投資が必要になる。

省エネルギー化は次世代省エネルギー基準の義務化がほぼ決定されている。土壁または板壁の伝統構法木造で薪ストーブやペレットストーブを使用している住宅は暖冷房に化石燃料を使わない。世代を超えて住み継がれている実績もある。しかし、次世代省エネルギー基準には適合しないので義務化された場合には新たな断熱が必要になる。蓄熱性、調湿性が特徴の土壁は外断熱することで逆の作用をしてしまう。次世代エネルギー基準では土壁以外でも木造真壁工法は困難である。東北地方の高断熱化は必要であるが関東以西では高断熱化よりも暖冷房で化石エネルギー・化石資源を使わない工法の方が理念に沿っている。国が一律の基準を強制することは選択の自由の阻害、それぞれの地域で培ってきた建築技術の否定、生産システムの破壊をもたらす。

国が想定している住宅は省エネルギー化、低炭素化ためにかける初期投資は2000万円の住宅でも数百万円かかる。さらに消費税増税で100万円上乗せされる。戸建て木造住宅であれば仕様規定で目的を達成できるので改めてCASBEE評価の必要はないが、敢えてCASBEE評価の申請を義務化すれば申請費、申請書作成費の消費者負担が増すことになる。 原発停止でエネルギー確保が迫られている政府は省エネルギー推進と消費税増税のための景気浮揚のネタ探しにやっきになっている。高断熱化の改修工事はその両方の要求を満たし、建材・設備・建設業者、天下り機関にとってもおいしい三方良しの政策で日本全体で1~数兆円の市場創出を目論む。しかし、省エネルギー効果は日本全体の1%に過ぎず、新築で100万円、改修で220万円(村上氏試算)をかけるほどの費用対効果は低い。インセンティブを与えるために減税や補助金などで1兆円程度の税金を使うことになり、税の使い途としては逆進的であり、税の無駄遣いでもある。高断熱化と増税によって建設費は20%程度コストアップするために着工戸数は30%程度落ちこみ、結果として4~5兆円の市場が喪失することになる。

もともと高断熱化の提案は2010年4月7日に前田国交大臣が所属する「健康・省エネ住宅推進議員連盟」に対して行った建築研究所理事長村上周三氏のプレゼンが大きな位置を占めていると思われる。そのプレゼンの資料を読み解くと高断熱化に対する疑問が湧いてくる。高断熱化の必要な理由として、冬期のヒートショックによる入浴中の急死者を減らすためとしている。しかし、死因の分析がなく、このデータではヒートショックが原因の急死者が何人かは不明である。また、通常の断熱工事と次世代省エネルギー基準の断熱工事との比較データはないので効果が不明である。もし本気でヒートショックによる急死を回避するのであれば浴室周りの部分断熱と局所暖房を徹底した方が普及が早い。高断熱化工事の投資回収年数を計算するのにわざわざ暖房費を平均の2倍で想定し、それでも新築住宅で29年、改修で63年かかるため、断熱工事を普及するためには別の理由が必要であるとしている。その別な理由として、「風邪の罹患率」や「省エネ以外の便益」などの定性的な要因を持ち出し、「健康維持増進効果を考慮すれば投資回収年数を大幅に短縮できる」というむちゃくちゃな論理を披露している。全国一律に高断熱化する目的もそれによる効果もまったく検証されていない。地球温暖化対策、省エネルギー、健康維持という誰も否定しないお題目を掲げながら、ただただ断熱工事の市場創出とCASBEE普及という下心が透けて見える。 このままで法改正がなされたり、国家戦略に盛り込まれることに対して、危機感を感じるは筆者のみであろうか。

国交省の「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」の議事録が公開途中であるのでわからないが、委員から低炭素化の根拠となる地球温暖化対策の「CO2 25%削減」効果の客観的なデータの確かさと「CO2 25%削減」の政策の継続性の問題を指摘している。さらに規制強化による財産権の制約や既存不適格に対する扱い、建築基準法上の位置づけ、都市計画法(筆者注:再生可能エネルギー導入時の容積率の緩和など)との関わり、環境行政との関わりなど、法体系のあり方や権利侵害を含むので、単純に新市場創出では片付かないことの認識不足を指摘しているように読み取れる。これらの問題を政策として実施するときまでに解決できているか監視する必要がある。伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会でようやく伝統構法の設計法が開発されつつあるが、改正省エネルギー法によって再び本来の伝統構法木造が建てにくくなる。

民主党政権では低炭素社会の実現が当然のごとく政策になっているが、政権交代すれば政策転換も大いにありうる。関連する「地球温暖化対策基本法案」は2010年3月に閣議決定したものの、同年6月に廃案、継続審議中であるが、自民党は撤回を求めている。同年5月の衆議院環境委員会で自民党委員からCO2 25%削減はIPCCからの要請ではなく、民主党政権の自主規制だと主張し撤回を求めた。筆者はこれまでのコラムで綴ってきたように近い内に地球温暖化対策は方向転換を迫られると考えている。太陽の観測や南極の気象観測から地球温暖化から寒冷化への兆候は現れている。低炭素化の根拠となる自然現象が変化した場合、温暖化対策などの政策転換を遅滞なく対応しなくてはならない。

経産省の試算で温暖化対策に2020年までに190兆円を費やすことになり、全てが無駄ではないが、喫緊の課題は地球温暖化対策ではなく、東日本震災復興と3連動地震への備えが優先される。第二の福島原発事故を起こさないために54基の原発の核燃料棒冷却のための電源確保が優先される。住宅では高断熱化よりも耐震化が優先すべきであり、改修工事の市場を創出するのであれば耐震補強、衛生設備の更新、断熱がバランスよく工事費の配分ができるように補助金の要件を見直すべきである。新市場の創出には、国の都合、供給者論理ではなく、国民の視点に立ち、消費者ニーズに応える形で景気を浮揚する政策を講ずるべきである。再び見誤ると「改正省エネルギー法不況」と「CASBEE不況」とも呼ばれる経産省・環境省・国交省合同の官製不況をもたらし、日本が沈没することを肝に銘じてほしい。

江原 幸壱 木の建築設計

●「新産業・新市場の創出」に向けた取組http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120302_2/shiryo8.pdf
●健康・省エネ住宅のすすめhttp://www.maetake.com/resource/100407_murakami_text.pdf
●まえたけだよりWeb版http://ameblo.jp/maetake-diary/entry-10525366494.html#main
●健康・省エネ住宅のすすめhttp://www.maetake.com/resource/100407_murakami_text.pdf
●低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000023.html
●日本の温室効果ガス排出の実態~排出量公表制度分析http://www.kikonet.org/research/archive/disclosure/CO2emission_analysis2007.pdf
●衆議院環境委員会齋藤建(自由民主党・無所属の会)http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=40409&media_type=
●新築住宅に省エネ基準適合義務 http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012701002325.html
●改正建築基準法が日本の破壊を招く http://janjan.voicejapan.org/living/0709/0709031756/1.php
●『建築ジャーナル』「建築と政治」全記事> > http://www.kinokenchiku.biz/writing.html

『建築ジャーナル』4月号本誌をご覧ください。

暖炉

2012/03/10 (Sat) 17:52
まぶち会総会

10日に港区赤坂のANAインターコンチネンタル東京で馬淵澄夫議員の「まぶち会」総会が開催されました。

馬淵議員とは5年近くのお付き合いになります。建築基準法改正によって官僚不況が訪れることを馬淵議員に訴えたのが縁で高校時代に同じ学区郡の先輩後輩の関係だったことがわかり親しくさせていただいています。

所信の挨拶で国交副大臣、大臣、政府補佐官、無役とめまぐるしく役職が変わった1年を振り返りました。

震災後は補佐官として原発事故処理に追われ、政治家として唯一事故後の原発建屋内に入り、事故現場を視察して処理にあたりました。

本来日本の原発は核のリサイクルが前提なので、それが30年にわたり実現していない以上フィクションであると断言していました。稼動停止している54基の原発の使用済み燃料棒の保管には切迫感をもって重大さを認識しているとのことでした。

来場者代表の数人の挨拶とメッセージを寄せた政治評論家の挨拶でも、馬淵議員のぶれない政治家としての評価は高く、異口同音に総理大臣にもっとも相応しい政治家として期待している趣旨の挨拶でした。会場も賛同の拍手が起こっていました。

挨拶の後は馬淵議員は場内をまわり、記念撮影をしました。私も今回は一緒に撮影してもらいました。

私は馬淵議員の秘書に消費税増税停止と改正省エネ法撤回の申し入れをするために後日面会を求める旨を伝え、会場を後にしました。
いつの日か馬淵議員が総理大臣の任に就くことを信じています。

まぶち会総会

2012/03/08 (Thu) 14:52
年月を積み重ねるごとに

年月を積み重ねるごとに

「造り酒屋」の古材を使って10年前に建てた埼玉県寄居の住宅を訪ねました。
雨上がりの気持ちいい午後でした。

久しぶりに訪ねたので子ども達の様子や節電によって仕事の環境が変わったことなどを話しました。

ちょうど節電の話の延長で住宅の暖冷房の話を聞きました。
この住宅には薪ストーブがあります。燃料の薪の調達はご主人の役割です。
木を伐採するという話を聞くと引き取りに行ったり、近くの山を回って倒木をもらってきたりして、その都度斧で薪をつくります。
いまでは3年分くらいの薪をストックしています。

夏は窓を開けて通風していれば冷房をかけなくても十分涼しいそうです。冬は薪ストーブを焚くそうです。
この住宅は真壁構造ですので、高気密高断熱の住宅に比べればはるかに断熱性能は悪いのですが、給湯と調理を除けば化石燃料をほとんど使わないで1年を過ごすことができます。

お施主さんの話では大変住み心地がよく、このような住宅が多く建てられるといいですねという嬉しい感想をいただきました。

10年経つと周りの緑もなじみ、このまま穏やかな時間が過ぎていくように思いました。

国の方針がでて、省エネ基準が厳しくなり高断熱の義務化によってこのような真壁工法の住宅や伝統構法木造が建てられなくなります。このことは国土交通大臣も、
基準を作った審議委員も、専門であるはずの国の建築研究所の理事長も気づいていません。

日本の大切な文化が途絶え、豊かな木の家に住めなくなってしまうのが残念です。

微力ながら改正省エネ法に対して反対運動をすることにしました。



H邸01

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2012/03/02 (Fri) 12:55
伝統構法木造を阻む要因について

日本建築学会 連続シンポジウム
「伝統構法木造建築物における諸問題と今後の展望」
のための準備論文


伝統構法木造を阻む要因について

長期優良住宅普きゅう促進法と改正省エネ法に着目して
1.はじめに
伝統構法木造の未来を阻む要因について「長期優良住宅普きゅう促進法」と「改正省エネ法」に着目して社会的背景を見ながら考察を行ってみる。日本の政府の方針および学会の主流からはずれた視点ではあるが、問題提起を試みる。

2.伝統構法木造の危機的な状況について
伝統構法木造を建築することがこれほど困難な状況にあることに対して日本建築学会をはじめ、アカデミー、行政、立法は何をしているのであろうか。あたかも福島原発事故の放射能汚染に対して児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長が「国に満身の怒りを表明した」くらいの勢いで今の危機的状況を訴える声は聞こえてこない。

日本の場合は野生の動植物は絶滅危惧種に登録されると「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の規定により保全活動がなされる。この法律の第一条に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在および将来の国民の健康で文的な生活の確保に寄与することを目的とした。」とあるが、「野生動植物の種」を「伝統構法木造」に置き換えると文章として成立する。建築は人の営みであり、社会的要請に応じて変かするのは当然であるが、この危機的状況を国民に知ってもらうためには過剰な表現もやむを得ない。野生生物の種の保存が国民の健康で文か的な生活の確保に寄与するのであれば、建築行いそのものが文かであるのでまさしく国民の健康で文か的な生活の確保に直接寄与するものである。

どの国も歴史的遺産は保存・保全の対象になっている。日本においても歴史的伝統木造を保全してくれていると国民の多くは考えているが、実情はお寒い状況である。いくつかの国の文か財は保全されるが、地方の文か財やまだ登録されていない建築物・工作物は予算がないため修繕ができないままである。民主党政権になってから、具体的に日本各地の実例を挙げて、地方の観光資源として建築物の保存と木造建築技術の継承の目的のため修繕費の補助の要望書を提出しているが、未だに実現していない。

地産地消と言われる地場で採れる材料を使い、徒弟制度の中で継承されてきた自然素材を建築に仕立てる建築技術は一旦途絶えると元の状態に戻すことは不可能である。建築物の保全だけの話ではなく、職人の育成、人員の確保、生産システムの維持ができなければ当然のごとく建築物も修復保存できない。国民の多くは伝統建築の限られた範囲で腕のよい職人が存在すれば問題はないと思っているようであるが、富士山が高くそびえ立っているのは裾野が広いためであり、高い技術は職人の数が多くなければ、そして日本のいたるところにいなければ維持できない。その風土と歴史が培ってきた技術は地方地方によって違う。これまでに職人はその地方の自然環境を読み取り、宗教をよく学び、使う人の生活を読み解いて間取りをし、構造を組み立ててきた。多くの失敗を繰り返して得られた技術であり、身体で覚えた技能である。現在残る建築はその痕跡を後世に伝える生きた手本である。

多少とも土をこね、木を扱った者であれば、自然素材を数百年も使えるように仕立てることが、どれほど困難かを理解できる。総持ちの木組み、崩れない版築、強度がある土壁、狂いのでない建具、はん永久的に耐久性のある瓦などは、30年後には再現できないであろう。建築に携わる学者、行政官、政治家はわずか数週間でも職人の元で研修を行い、自然素材の手強さを実感し、生産者の志の高さと仕事に対する姿勢を理解した上で、それぞれの役割を果たすべきである。

木造建築においては、机上で考えた工法は材料の選択を誤り、木構造の弱点を克服できず、近い内に大きな問題が生じる可能性が高い。現代の工法は、薬剤防蟻による処理はシロアリによる被害をだし、集成材や合板は経年変かによる接着剤の劣かによって剥離が起きてくる。耐久性にもまして、職人が手をかけて建築しなければ、次の世代の住み手が敢えて維持しようという強い思いは湧かず、躊躇無く取り壊されることが容易に想像できる。これまで筆者が残存しているこ民家を訪ねて聞き取りをした範囲では住み手の建物に対する強い思いを聞かされる場合が多い。

3.長期優良住宅普きゅう促進法について
2008年に成立した「長期優良住宅普きゅう促進法」では伝統構法木造は基本的に対象外にされている。歴史の中で証明されている実績を無視し、技術の進歩も人の性向も考慮せずに稚拙な想像力で打ち立てた「200年住宅」構想は既に破綻している。オーバースペックによる2割のコストアップが仇となって、毎年50億円の予算を使って100万円/戸の補助金をつけて誘導しても実施率10数%の低調が続いているのはその証左である。

物理的な耐久性を向上させても建物の寿命が延びることにならないのは小松幸夫氏、横関洋一氏の論文でも明らかである。そのことは「200年住宅」構想の国会の審議過程で既に指摘されていた。建物の滅却の要因となる相続税や減価償却資産の制度は手つかずのままである。建物を長期間使用することによる優遇税制や歴史的文化資産としての位置づけを制度設計に盛り込むべきである。

4.改正省エネ法について
伝統構法木造の未来を阻む要因として現在もっとも影響のあるものは「改正省エネ法」である。木造建築および住宅に関しては省エネ法の2008年の改正で、対象が床面積300㎡以上の建築物に引き下げられ、また年間150棟以上建設する住宅事業建築主の戸建て建売住宅が対象になった。住宅性能表示制度または建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)、「見えるか」と省エネ基準が義務かされることになった。

国土交通省所管の「低たん素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」で建築関連の地球温暖か対策が継続的に検討されているが、この審議会は2009年にCOP15で表明された「鳩山イニシアティブ」の「2020年までに二酸かたん素排出量25%削減」の行動目標に依拠している。ところが、現在は科学者の間で「地球温暖かの主な原因は二酸かたん素によるものではない」という意見が多くなり、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」以外では世界的に「地球温暖か人い説」に否定的な世論が形成しつつある。

2020年までに二酸かたん素25%削減の目標達成には、経済産業省の試算では温暖か対策として日本国内で190兆円が必要と見積もられている。たとえこの目標が達成しても地球全体では気温が下がるという実施的な効果を裏付ける科学的根拠がないため、国会では「温暖か対策基本法案」も棚上げになっている。現在温暖か対策として二酸かたん素排出量削減が国家的命題として様々な施策が暴走しているのは大変危険な状態である。

この審議会では2020年までに「見えるか」の実現と省エネ基準による高断熱かを目標にするという中間報告を提出している。そこで問題なのは、住宅において新築工事に限定したとしても仮に確認申請に性能表示やCASBEEを義務づけた場合に審査料と書類作成費用の負担が消費者に上乗せされることであり、その費用は数100億円規模になる。一律の高断熱かは50万円/戸以上のコストがかかり全体で数1000億円規模の負担増になり、2007年の改正建築基準法による「建築不況」の二の舞になる可能性が高い。仮に二酸かたん素削減効果に注目したとして高断熱かによる削減効果は家庭部門で14.4%の内の冷暖房が14%なので全体の2%に過ぎない。わずかな効果のために「建築不況」の再来は代償が大きすぎる。

温暖か対策の強引な誘導は経済的な損失だけでなく、伝統的な建築生産システムを解体させ、伝統構法木造を絶滅させ、ひいては日本の建築文かを破壊してしまう。全国の網羅的な高断熱の義務かは、木製建具などの無認定製品や蓄熱性能を考慮しない断熱性能のみの評価によって土壁や無垢板の内壁などが排除される。建築部材の生産は素材生産や道具の生産などに関連してくるので他の職種に対しての影響も大きい。消費エネルギーだけに着目し、高断熱かの押しつけ施策は建築生産システムの破壊という社会的にマイナスの影響をもたらす。

審議会の議論ではこのような近視眼的見方(エビデンスの欠如)に対して警鐘を鳴らす意見も出ているが、科学技術コミュニケーションの立場から小林傳し教授が現在の政府の審議会による社会的意思決定の方法論の陥穽について警鐘を鳴らしているように、実務者や市民や異なる意見を持つ者が排除されている審議会のあり方は再考を要する。「建築不況」のはん省なしに、「建築不況」をもたらした元凶である現在の審議会による社会的意思決定の方向付けは見直されるべきである。

5.まとめ
伝統構法木造の未来を阻む要因について、伝統構法木造の建築基準法上の問題点および今後制定されるであろう「建築基本法」を基にした建築関連法の見直し、「伝統的構法の設計法作成および性能検証実験」検討委員会の成果については紙面の都合上割愛し、長期優良住宅普きゅう促進法と改正省エネ法の問題点に絞って、非公式の社会的状況を踏まえながら論じた。本稿は、伝統構法木造の本質的な問題ではないが、多くの実務者や国民が知らないままに意思決定の方向付けがなされている根底に流れている動きについて警鐘を鳴らすものである。

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