流山市景観計画の変更の公聴会について
流山市景観計画の変更について9月27日に公聴会が行われ、代読を含め9名が公述しました。
公述人は日頃から流山市の市政に対して関心が高く市民として積極的に発言している方ばかりでした。
私も公述人一人として以下の公述を行いました。
今回の景観計画の変更は景観計画重点区域である新川耕地の「新川の森景観保全ゾーン」の一部にこれまでになかった「緑の景観創出ゾーン」という新たな基準を設け、31mまでの建築物を建てられるようにするという変更です。
これに対して私は以下の6点を指摘しました。
1.景観計画は先にあるべきです。建物を建てるために変更するのは本末転倒です。
2.「景観創出ゾーン」はもともと景観計画になかった概念です。内容はかなり問題があります。高さ制限が甘すぎます。建物は樹木の高さ以下にすべきです。
3.ハザードマップでは当該敷地は2~5mも浸水される地域です。わざわざ浸水する敷地で軟弱地盤に高層建築物が建つように変更するのは問題です。
4.生物多様性の保護の観点からすでに多くの生物が生息する地域を破壊するのは問題です。
5.農業目的の土地に農業以外の建築物を建てるのは問題です。
6.住民自治基本条例の趣旨に沿って、意思決定の方法を行うべきです。
私は建築設計業を営んでいますので、日頃から都市計画法や建築基準法などの法の下に仕事をしています。都市計画はその地域の用途や建物のボリュームを規定しています。これはインフラ整備ができない地域にやたらに建築物をつくることで行政コストがかかるのを防止する意味があります。対象の地域は市街化調整区域で本来建物を建ててはいけない地域です。それが建築単体を建てることを容認するために都市計画の変更することになり、本末転倒です。(景観計画の変更の後に予定されている都市計画の変更)
景観計画はその地域の用途を想定しながら景観上の規定をしています。「都心から一番近い森のまち」を標榜している流山市自らが景観重点区域でもある新川の森の保全を放棄し、31mの建物に草を貼り付ければよいという内容に変更するものです。これまでの「宅鉄法」による森の消失と質が違う行為です。
この地域は河川の氾濫を想定した上での農地でした。防災上、河川の氾濫を吸収し市街地への浸水を抑える緩衝地としての重要な役割があります。また、現在国会で審議されている齋藤健議員が自民党農林部会長としてまとめた「都市農業振興基本法」が対象としている将来に残すべき都市農地でもあります。森が消失しつつある流山市では生物多様性を観測できる大変貴重な地域です。この緑地帯は将来の流山市民にとって貴重な自然資産になります。
この地域の開発による地権者の臨時収入は、税制改正により不動産取得税や相続税を納税すると思ったほど多くはないのではないでしょうか。噂されている物流センターも土地の性格上自然災害によって大きな損害を被る可能性が高いと思います。流山市が目論んでいる税収も取らぬ狸の何とかになると思います。私は数十年先を見れば流山市は誤った選択をしてしまったと思う時がくると考えています。既に後の祭りですが、その選択が正しかったかどうかは今後明らかになります。
●流山市景観計画の変更
内容:新川耕地地区については、景観計画において重点区域として、また、新川耕地区域の一部について、都市計画マスタープランで産業系土地利用ゾーンとして位置付けているところである。この産業系土地利用ゾーンにおける諸施策や方針等が提示されたことにより、市としての政策が明確となったことから、今後、景観計画の変更の内容について、具体的に検討し、計画の一部を変更する。
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/018/272/lllll.pdf